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2021(令和3)年度京都大学法科大学院入試 再現答案③刑法、刑事訴訟法

京大ロー刑事系科目の再現答案構成を作成しました。今後受験される方の参考になればと思います。また、得点開示がされれば得点についても可能な限り公開しようと思っています。

なお、答案構成は試験場で実際に答案構成用紙に書いたものではありません。以下の答案構成はむしろ「書いた答案の要約・レジュメ版」のようなものとなっています。また、再現は試験当日に作成したものに1か月半くらいたった後加筆修正したものです。この点ご留意ください。

()部はそのときの感情を、※以下は間違っている部分を、そして{}は※以下の間違いを正したものです。また、…の論点を書いた、という場合は、文頭に〇印をつけています。

 

刑法

第1問

第1.甲の罪責

1.甲がAの別荘に侵入した行為について、住居侵入罪が成立しないか。

窓は開いていたが住居権者の意思に反する立ち入りであるので住居侵入罪が成立(いつもならこんな丁寧に書かないのに、何かを見落としているんじゃ…という不安に駆られ、謎に慎重に書いてしまった。本番だからこそ起こり得る現象ですね)

2.甲がA宅で物色した行為について窃盗未遂罪が成立しないか

(1)実行の着手時期→物色時点(長くなりすぎないよう、「物色は窃取行為と時間的に密接で、占有移転結果の現実的危険性ある。よって実行の着手認められる」みたいな感じで書いたと思います。)

(2)不能犯

〇規範→Aは古美術品を集めており、隣人である乙にも最高の美術品を飾っていると話している→一般人をしてAの別荘に入って金目のものがないか物色する行為は結果発生の現実的危険性を有する。→不能ではなく未遂

以上より上記行為に窃盗未遂成立 

住居侵入・窃盗未遂が牽連犯 乙、丙に共犯成立

第2.乙の罪責

上述の甲の住居侵入及び窃盗未遂について、共犯が成立しないか

共謀あり、自ら手順を提案しているしAを自宅にとどめておくのは別宅侵入において重要なので正犯意思もあり、甲は実行行為を行っている

後述のとおり丙は甲と共謀しているので順次共謀が成立し、乙は甲丙と住居侵入と窃盗未遂について共同正犯が成立

第3.丙の罪責

1.住居侵入、窃盗未遂について共犯成立 ∵共同意思のもと共同実行(共謀した会話文を軽めに引用)

2.B宅 住居侵入

3.B宅 強盗

〇暴行脅迫の定義・バールは窓を割るような器具だからそれで殴るのは相手方の反抗を抑圧するに足りる程度といえる

強取

強盗成立

A宅住居侵入・窃盗未遂が牽連犯、B宅住居侵入・強盗が牽連犯、この両者が併合罪

甲乙に共犯は成立しないのか 共犯の射程は及ばないことを書いた

 

第2問

第1.甲の罪責

1.甲がアダルトビデオの顔部分を乙の顔と入れ替えた行為に※175条のわいせつ物頒布は成立しない{3~5行ほど書きましたが、問題文に「175条…あたらない」と書いているのだから書かなくても良かったです}

2.上記行為に名誉棄損罪か侮辱罪が成立しないか

〇事実の摘示の有無で上記2罪を分けるという説の論証

※本件では事実の摘示ないので名誉棄損罪成立しない・侮辱罪を検討すべき{ここは良く分かりません。}

インターネットで閲覧可能にすれば不特定多数の者が視聴しうるので公然性あり

「侮辱」した(定義知らないのでただ事実を述べたうえで「侮辱」にあたるとしただけです)

以上より侮辱罪が成立する。

第2.乙の罪責

1.甲への恐喝が成立するか。

※「恐喝」にあたるか 確かに高額ではあるけれども公正証書で送付しているし裁判を起こすというのは正当な行為なので恐喝にあたらない

{※間違いです!論点の意味を理解していなかったことに試験のあと気づきました。権利行使と恐喝の論点は、通常通り恐喝・畏怖・交付を当てはめて、財産的損害があるか、というところで個別財産に対する罪なので財産的損害は認められる。というものなのですが、恥ずかしながら分かっていませんでした。なお、本問では甲は交付していない(畏怖もしていない?)ので、そもそも未遂であってこの論点は書きにくいですね。書くなら社会的相当性ですが、1億の請求か裁判か、という要求には恐喝未遂が成立するといえるのではないかと思います。}

2.Cに恐喝の教唆をしたとも思われるが、Cに脅すことを依頼したわけではないので恐喝は成立しない。

第3.丙の罪責

1.動画削除の請負を装い100万円を振り込ませた行為に詐欺罪が成立しないか。

欺罔行為、錯誤、交付、財産的損害のあてはめ 欺罔行為のみ定義を書き問題文の事情を3行ちょっとあてはめ

2.Cを刺したことについて2項強盗が成立しないか

暴行脅迫

〇「財産上不法の利益を得」現実に財産上の利益を得たといえる場合である、という論証に、死亡の事実をあてはめ

強盗殺人

強盗を逃れることを手段としていた(ここは明らかなので規範は書かず)

〇強盗殺人 故意ある場合も含むかの論点

以上より強盗殺人成立

詐欺と強盗殺人、併合罪

 

 

感想

第1問

窃盗か詐欺かの論点も書くべきなのかな?と悩みましたが、さすがに共犯者が引き留めているだけで詐欺かどうかを議論しなくても良いだろう…と思い書きませんでした。また、中止犯を書いたような書いていないような…すみません、記憶にございません。

これ、4枚みっちり書いたんですよね。でもそんなに行くほどの論点がないですよね。というか大学院側はどこをキーポイントとしてこの問題を出題したんでしょう?あるいは私が何か重大なものを見落としているのだろうか?いずれにせよ、確実に点を取りに行こうとして余計なことを書いたり迂遠になったりする、という私の癖?に気づくことができました。

第2問

ストーリーが独創的でした笑。でも十分あり得るストーリーなので、確かにこういう事例でも問題となり得るよなーと考えながら解いていました。試験終了後神大の勉強をしているときに権利行使と恐喝の論点の意味をちゃんと分かっていなかったことに気づき、絶望しました。

 

 

刑事訴訟法

第1.検察官による取調べにおける供述だった場合

〇伝聞証拠の定義→Aの調書は伝聞証拠

→原則として証拠能力否定される

もっとも321条1項2号によって証拠能力肯定されないか

「相反」にあたる(ここは明らかなので規範は書かなかった)

〇「信用すべき特別の状況」定義

あてはめ…外部的事情 甲は部長、Aは部下

     供述中の特信情況推認させる内容 「甲は厳しい上司」  

     →信用すべき特別の状況あり

→署名押印あれば証拠能力認められる

 

321条1項2号によって証拠能力認められなかった場合

328条弾劾証拠として用いる

〇趣旨と自己矛盾供述についての論点

本件はAの矛盾する供述なのでOK

 

第2.警察官による取調べでの供述

上述の通り証拠能力認められない

321条1項3号によって証拠能力認められないか

※本件はA「死亡…できず」にあたらず、供述不能ではない→証拠能力認められない{条文に明示されているもの以外でも供述不能であればこの要件認められるが、Aに供述不能であるという事情は認められないので供述不能にあたらない、というのが正確}

よって321条1項3号でも証拠能力は認められない

もっとも検面調書の場合同様、328条により弾劾証拠として用いることは可能

 

第3(というか追加)Aが共犯者として訴追をうけている場合

共犯者の供述は321条322条いずれを適用するべきか

〇322条の趣旨や責任転嫁の可能性について論じる

→321条

 

感想

とにかく知っていることを正確に書こうと心掛けました。比較的いい点が付いたのでは、と思います。抜け落ちがなければですが。

 

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